不動産投資で見落とされやすい“危険物件”の存在
不動産投資を始めると、まず目につくのは「利回りの高さ」や「購入価格の安さ」です。しかし、初心者ほど見落としやすい落とし穴があります。それが、表面上は魅力的に見えても、実際には大きなリスクを内包する “危険物件” です。
物件価格が相場より極端に安かったり、利回りが異常に高かったりする場合、裏にはかならず理由があります。もし充分な知識がないまま購入すると、運用どころか、売却さえできず、資金が回収できないケースすらあります。
特に初めての不動産投資では、こうした「買ってはいけない物件」を見抜く力が最重要。
本記事では、初心者が必ず避けるべき危険物件の特徴と、そのリスクを未然に防ぐチェック方法を、わかりやすく徹底解説します。
初心者がつまずきやすい“危険物件”の共通点
不動産投資の世界で「危険物件」と言われるものには、いくつかの共通点があります。
- 相場より明らかに安い
- 売却履歴が短期間に何度もある
- 表面利回りが異常に高い
- 住所や接道・権利関係が不透明
- 瑕疵の説明が曖昧、または異様に売り急いでいる
- リフォーム済みを強調するが詳細は非公開
これらは一見すると「お得に見える」ため、初心者ほど魅了されやすい特徴でもあります。しかし不動産は他の投資と違い、購入した後の撤回が難しい資産です。
危険物件を避けるスキルは、初心者が身につけるべき最優先スキルと言えます。
初心者が絶対に注意すべき代表的な危険物件
これから、不動産投資で避けるべき代表的な危険物件を、わかりやすく整理して紹介します。
特に ①再建築不可、②事故物件、③借地権・底地権の問題、④傾斜地・擁壁物件、⑤管理不全物件、⑥法令違反物件 は、初心者が最もつまずきやすく注意が必要です。
再建築不可物件のリスクと見抜き方
再建築不可とは、簡単に言うと「家を建て直せない土地」のことです。
再建築不可が発生する最も典型的な理由が、
- 道路に幅2メートル以上接していない
- 接している道路が建築基準法上の“道路”として認められていない
この場合、建物が古くなっても建て替えることができません。
● 再建築不可の主なデメリット
- 金融機関の融資がほぼ使えない(現金購入が多い)
- 売却が難しく、価格が下がり続けやすい
- 建物の老朽化リスクがダイレクトに収益へ影響
- 災害や事故時に建替えできず、資産価値が消滅する可能性
再建築不可は、安さに飛びつきやすい典型例ですが、初心者にはリスクがあまりに大きい物件タイプです。
● 再建築不可のチェック方法
- 「接道義務」=幅4m以上の道路に2m以上接しているか確認
- 市役所の建築指導課で“道路種別”を問い合わせ
- 不動産会社任せにせず、自分でも現地と図面を確認
事故物件(心理的瑕疵物件)の落とし穴
事故物件とは、過去に事件・自殺・孤独死などがあった物件のこと。心理的瑕疵(かし)と呼ばれ、入居者が見つかりづらい物件に分類されます。
● 事故物件のリスク
- 空室期間が長期化
- 家賃を大幅に下げないと入居しにくい
- 売却価格が相場より低くなりやすい
- 告知義務の範囲が曖昧なケースもある
告知義務は一定期間で消滅する場合もありますが、それでも相場に比べてリスクが高く、初心者には扱いが難しい物件です。
● 見抜き方
- “大島てる”などの事故物件検索サイトをチェック
- 過去の売買履歴を不動産会社に確認
- 値段が不自然に安い場合は必ず理由を確認
借地権・底地権の複雑な権利リスク
借地権とは、土地を借りて建物を所有する権利のこと。
底地権とは、土地を貸して地代を受け取る側(地主)の権利です。
これらは専門的な知識が必要で、一般的な所有権とは違う点が多く、初心者にはハードルが高い物件です。
● 借地権・底地権の主なリスク
- 融資が付きにくい
- 権利関係の調整に時間と専門知識が必要
- 売却が難しい(二次流通が限られる)
- 更新料・承諾料など追加費用が発生
初心者が「妙に安いから」と購入してしまう典型的な落とし穴の一つです。
傾斜地や擁壁のある物件の注意点
傾斜地にある物件や、擁壁(ようへき)と呼ばれる土を支える壁が絡む物件も、初心者が避けるべきタイプです。
● リスク
- 土砂崩れや地盤の不安定性
- 擁壁の修繕費が非常に高額(数百万円〜数千万円)
- 築古だと“建築基準不適合”の可能性がある
擁壁が古いと行政の基準を満たさず、建物が建て替えできないケースもあり、実務上かなり危険です。
管理不全物件が抱えるトラブル
管理不全物件とは、マンションであれば管理組合が機能していない、戸建てであれば長年放置されているなど、維持管理が破綻している状況を指します。
● リスク
- 修繕が手つかずで、建物価値が急速に下落
- 近隣トラブル・クレームを抱える可能性
- 売却が困難
特に築古マンションは管理組合の資金状況などを必ずチェックする必要があります。
法令違反の疑いがある物件の危険性
- 建ぺい率・容積率のオーバー
- 違法増築
- 準防火地域や防火地域の制限違反
- 道路後退(セットバック)未対応
これらは「違法建築物件」となり、融資不可・売却困難・修繕不可など重大なリスクが発生します。
危険物件を見抜くためのチェックリスト
危険物件は、専門家なら数分の調査で判断できることも多いですが、初心者でも以下のチェックリストを活用すれば、基本的なリスクを見抜くことができます。
● 権利関係に関するチェック
- 所有権か、借地権か、共有名義か
- 地役権・通行権などの複雑な権利はないか
- 隣地との境界が確定しているか
- 担保権が設定されたままになっていないか
● 接道状況・敷地に関するチェック
- 建築基準法上の道路に2m以上接しているか(接道義務)
- 道路幅4m未満の場合、セットバックが必要か
- 再建築不可の疑いはないか
- 擁壁の有無、老朽化の有無
- 地盤が弱くないか(液状化マップなどで確認)
● 建物構造のチェック
- 違法増築がないか
- 構造(木造・鉄骨・RC)と劣化具合
- 耐震基準(新耐震基準1981年〜)を満たしているか
- 雨漏り、傾き、基礎のひび割れの有無
● 管理状態のチェック
- マンションの管理組合が機能しているか
- 管理費・修繕積立金に不足はないか
- 修繕履歴はあるか
- ゴミ置き場・共用部の清掃状態
● 周辺環境・トラブルの確認
- 近隣に嫌悪施設(墓地・パチンコ・工場など)が密接していないか
- 周囲が騒音・治安悪化エリアではないか
- 過去にクレームが多発していないか
- 災害リスク(洪水・土砂災害)をハザードマップで確認
● 入居付けに関するチェック
- 家賃相場と乖離していないか
- 駅距離は適切か
- ペット可・専有面積など入居ニーズとマッチしているか
- 極端に高い利回りになっていないか(裏に問題がある可能性)
上記をチェックするだけで、多くの危険物件は事前に排除できます。
過去に実際に起きた危険物件トラブルの実例
初心者投資家が巻き込まれやすい実際のトラブル例を紹介します。
● 【事例①】安すぎる中古戸建に飛びついた結果、再建築不可だった
地方の中古戸建が300万円で販売されており、表面利回り20%と魅力的に見えたケース。しかし調べると 接道義務を満たさず再建築不可 の物件。
購入後に台風被害で屋根が破損しても建て替えできず、修繕費で数百万円かかり投資が破綻。
● 【事例②】事故物件を相場より高く購入してしまった
表面利回りが良かったワンルームマンションを購入。しかし実は 過去に孤独死があった事故物件。告知義務が解除されていたため説明がなかったが、ネットで広まり入居付けが困難に。
家賃を1万円以上下げても空室が続き、結局赤字経営となった。
● 【事例③】擁壁修繕で予想外の出費が300〜400万円発生
坂の上にある物件を購入した投資家。購入当時は気づかなかったが、敷地内に古い擁壁があり、自治体の基準を満たさないと指摘を受け 大規模修繕を実施する羽目に。
収益性が一気に悪化する典型事例。
● 【事例④】管理不全マンションで修繕積立金ゼロ
築古マンションを利回りだけで購入。しかし管理組合が長年機能しておらず、修繕積立金がほぼゼロ。
結果的に、大規模修繕時に 1戸あたり100万円以上の負担金 が発生。
初心者が最も避けるべきパターンです。
初心者が安全な物件を選ぶためのポイント
危険物件を避けるためには、「なにを避けるか」だけではなく「どう選ぶか」も重要です。
● 所有権・建て替え可能な物件を選ぶ
最初の1軒は
- 所有権
- 建て替え可能
- 接道義務を満たす
- 法令違反の疑いなし
を満たす物件にすべきです。
● 管理状態の良い物件を選ぶ
- マンションなら管理会社・管理組合の活動状況
- 修繕積立金の額
- 外壁・共用部の清掃状態
初心者が最も見落とす部分ですが、資産価値に直結します。
● 過度に高い利回りを警戒する
利回りが極端に高い物件は、たいてい裏にリスクがあります。
- 事故物件
- 再建築不可
- 管理不全
- 地域の治安悪化
- 入居がつかない立地
正常な市場では「高利回り」「安全」は同時に成立しにくいことを理解しましょう。
● プロによる物件調査(インスペクション)を活用
数万円〜10万円程度で専門家が建物内部を調査してくれるサービスです。
初心者ほど必須レベルで利用した方が安全です。
初心者向けの行動ステップ|危険物件を避けるための実践フロー
最後に、初心者が物件選びで失敗しないための行動ステップをまとめます。
STEP1:相場の価格と家賃を把握する
相場を知れば「安すぎる物件=危険」が判断できます。
STEP2:接道・権利関係を確認する
購入前に必ず
- 接道状況
- 道路種別
- 所有権か借地権か
をチェック。
STEP3:管理状態を確認する
マンションなら
- 修繕積立金
- 管理組合の活動
- 管理費滞納率
を必ず確認。
STEP4:ハザードマップ・地盤を調べる
災害リスクは後から変えられません。
STEP5:入居需要を確認する
- 主要駅までの距離
- 家賃相場
- 住民の主要属性
など“需要の強さ”が重要。
STEP6:疑問点は必ず書面で確認する
口頭説明だけを信じるのは危険です。
STEP7:インスペクションで専門家に見てもらう
初心者に最も効果的なトラブル防止策です。
まとめ:危険物件を避けるだけで不動産投資の成功率は上がる
不動産投資は「何を買うか」で8割決まります。
そして初心者が最初に失敗するのは、収益性ではなく “危険物件” を買ってしまうことです。
再建築不可、事故物件、管理不全、違法建築など、リスクの大きい物件には明確な特徴があります。
本記事のチェックリストと判断基準を活用し、危険物件を避けるだけで、投資の成功確率は飛躍的に高まります。

