不動産投資を学ぶとき最初にぶつかる“専門用語の壁”
不動産投資を学び始めると、多くの初心者がまず挫折しやすいポイントがあります。
それは 専門用語の多さ です。
同じ「利回り」でも複数の種類があり、「管理費」と「修繕積立金」は何が違うのか、
「表面利回りと実質利回りってどっちが大事?」「敷金回収って収益になるの?」など、
初めて学ぶ用語が多すぎて、何から覚えればいいのか分からなくなるのが普通です。
しかし、不動産投資の基礎用語を理解することは「成功するための最低条件」です。
用語がわからないまま進めてしまうと、物件選びや融資判断で大きな誤解が生じ、
思わぬ損失につながる可能性もあります。
この記事では、初心者が最初に理解すべき 不動産投資の基本用語を体系的に整理 しています。
これを読むだけで、物件資料・不動産会社の説明・融資の打ち合わせが一気に理解しやすくなります。
よくある混乱の原因と、初心者が勘違いしやすいポイント
不動産投資用語は多いですが、混乱しやすい理由は次の3つです。
- 同じ言葉でも使われ方が複数ある(例:利回り)
- 法律用語と実務用語が混在している
- 業者ごとに説明の仕方が微妙に異なる
特に「利回り」「ローン関連」「費用」「権利」の分野は、初心者が最もつまずきやすい部分です。
それでは、これらを体系的に理解できるよう、カテゴリー別に整理していきます。
不動産投資の必須ワード:まず押さえるべき基本用語
以下では、不動産投資を始める上で必ず出てくる専門用語をカテゴリ別に整理し、
初心者でも理解しやすいよう、やさしい言葉で丁寧に解説していきます。
収益性に関する用語(利回り・家賃・費用)
● 表面利回り(グロス利回り)
収益性を見るとき最初に出てくる基本ワード。
計算式はシンプル:
年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
ただし 経費を考慮していない ため、実際の収益性とは乖離することに注意。
● 実質利回り(ネット利回り)
物件運営にかかる経費を差し引いて算出される、より現実的な利回り。
(年間家賃収入 − 経費) ÷ 総投資額 × 100
実際の投資判断は 必ずこちらを重視すべき。
● NOI(営業純利益)
NOIとは Net Operating Income(営業純利益)のこと。
構造としては以下の通り:
家賃収入 −(空室損・管理費・修繕費などの経費)
ローン返済は含めない点がポイント。
● キャッシュフロー(CF)
実際に手元に残る利益。最重要指標の1つ。
NOI − ローン返済
黒字でもキャッシュが残らない「キャッシュフロー倒産」に注意。
● 管理費(マンション)
共用部の清掃・エレベーター・設備保守などに使われる費用。
ワンルームの管理費相場は月5,000〜15,000円ほど。
● 修繕積立金
将来の大規模修繕のために積み立てる費用。
築古で安い場合は「修繕積立金が枯渇している」可能性があるため要注意。
● 固定資産税・都市計画税
毎年1回かかる税金。
購入前に「課税明細」を確認することが重要。
● ランニングコスト
運用に継続してかかる費用の総称。
代表例:
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税
- 保険料
- 賃貸管理手数料
- 更新料・広告費
- 水道光熱費(戸建て貸しの場合)
利回りだけで判断してはいけない理由のひとつ。
物件の状態・構造に関する用語
初心者が特につまずきやすい分野。
● 建ぺい率・容積率
その土地に「どれくらい建物を建てられるか」を示す法定上限。
- 建ぺい率:土地に対する建物の広さの割合
- 容積率:延床面積の合計が土地に対してどれだけ許されるか
違法に建てられている場合は融資不可の可能性あり。
● 新耐震基準(1981年以降)
1981年6月に耐震基準が大幅改正。
それ以前の建物(旧耐震)は災害リスクが高いと判断され、融資が厳しくなることが多い。
● RC構造・S造・木造
建物構造の種類。
- RC(鉄筋コンクリート):耐震性・遮音性が高い
- S造(鉄骨):比較的軽量、ワンルームマンションに多い
- 木造:利回り高いが耐用年数が短い
融資期間や金利にも影響する重要な要素。
権利関係に関する用語(最重要カテゴリ)
不動産投資は「権利」で成り立つため必ず理解が必要。
● 所有権
もっとも一般的。土地・建物を自由に利用・売買できる。
● 借地権
土地は借りて、建物だけ所有する権利。
安く買えるが「融資が出にくい」「売却が難しい」点に注意。
● 地役権・通行権
隣地が通行に必要な場合などに設定される権利関係。
複雑だとトラブルのもとになる。
● 接道義務
建物を建てるには道路に2m以上接している必要がある。
接道がないと 再建築不可 になるため、初心者が最も注意すべきポイント。
融資・ローンに関する用語
不動産投資の成否を左右するのが「融資条件」です。
専門用語が分からないまま進めると、金利や返済期間で大きく損をする可能性があります。
● 元利均等返済
毎月の返済額(元金+利息)が一定になる返済方法。
住宅ローンで最も一般的。
初心者は「均等だから安心」と思いがちだが、序盤は利息の割合が多い点に注意。
● 元金均等返済
毎月返す元金が一定で、利息は徐々に減っていく返済方法。
月々の負担は初期が重いが、利息負担は軽くなる。
投資用ローンでは使われるケースが少ないが、仕組みは理解しておきたい基本用語。
● 団体信用生命保険(団信)
ローン利用者が死亡・高度障害になったとき、残りのローンが保険で完済される仕組み。
実質的に 生命保険代わりになるメリット がある。
● 金利(固定・変動)
- 固定金利:返済が安定し、長期計画が立てやすい
- 変動金利:低金利で借りられるが、上昇リスクがある
投資目的なら「返済比率」「キャッシュフロー」を軸に判断することが重要。
● 返済比率(返済負担率)
年収に対する返済額の割合。
返済が重いとローン審査に不利になる。
● LTV(ローン比率)
Loan To Value の略。
物件価格に対して何%借りるかを示す指標。
ローン額 ÷ 物件価格 × 100
高すぎるとリスクが上がる。
● AD(広告費)
入居者付けを早めるために仲介会社へ支払う追加報酬。
空室対策の重要な実務用語。
賃貸運営に関する重要用語
不動産投資は「買って終わり」ではなく、買ってからが本番。
運営の専門用語も必ず理解しておきたいポイントです。
● 家賃保証(サブリース)
管理会社が家賃を保証し一定額を支払う仕組み。
メリット:
- 空室リスクを軽減
デメリット:
- 途中で家賃減額される
- 実質利回りが下がる
- 中途解約が難しい場合もある
初心者が誤解しやすい用語No.1。
● 原状回復費
退去時に行う修繕費。
敷金から差し引くが、足りない場合は追加費用が必要。
● 管理委託料(賃貸管理費)
管理会社に運営を任せる場合に発生する費用。
相場は家賃の3%〜5%。
● 更新料
関東圏を中心に、2年ごとに入居者から徴収される料⾦。
収益を押し上げる重要ポイント。
● 原価償却(減価償却)
建物の価値が年々減っていくことを、税務上の費用として計上できる制度。
節税効果が高い用語であり、投資としては理解必須。
物件資料に必ず出てくる専門用語
物件資料(マイソク)には数多くの専門用語が登場します。
意味がわからないと比較すらできないため、一つずつ整理していきます。
● 専有面積 / 延床面積
- 専有面積:自分が使える範囲のみ
- 延床面積:建物の総面積
ワンルーム投資では「専有面積20㎡以上」を目安にするケースが多い。
● バルコニー面積
専有面積には含まれない。
広いと入居が決まりやすい。
● 建物構造(RC造・SRC造・木造など)
- SRC(鉄骨鉄筋コンクリート):耐震性・防音性に優れる
- RC(鉄筋コンクリート):一般的マンションに多い
構造は融資期間にも直結するため理解必須。
● 管理会社・管理方式
- 全部委託
- 一部委託
- 自主管理
初心者は「全部委託」一択。
● 事業収支表(シミュレーション資料)
販売会社が提示する将来収支の見通し。
ただし、多くが楽観的に作られるため、必ず自分でも計算し直す必要がある。
初心者が覚えるべき用語の優先順位
用語は多いですが、すべて一度に覚える必要はありません。
優先順位をつけると理解が早くなります。
【最優先(レベル1)】投資判断に直結する用語
- 表面利回り・実質利回り
- NO I・キャッシュフロー
- 管理費・修繕積立金
- 接道義務(再建築不可の判断)
- LTV
- 金利タイプ
【優先(レベル2)】運営に関係する用語
- 原状回復費
- AD
- 更新料
- 賃貸管理費
- 事業収支表
【基礎(レベル3)】建物・法律に関する用語
- 新耐震基準
- 建ぺい率・容積率
- 構造(RC・木造など)
- 地目
- 権利関係(所有権・借地権)
レベル1から順に覚えれば、短期間で理解が深まります。
初心者向けの行動ステップ|用語理解から実践へ
用語を覚えたら、実践を通して知識を定着させていきます。
STEP1:物件資料を10件読む
同じ言葉を何度も目にすることで、自然と理解が深まる。
STEP2:自分で収支を計算する
販売会社の資料を鵜呑みにせず、自分の計算式で実践する。
STEP3:現地調査・ヒアリングを行う
理解した専門用語を使って、管理会社・仲介業者に質問してみる。
STEP4:融資相談を受けながら金融用語を理解する
ローン担当者との会話で、金利・返済期間・団信などの理解が一気に深まる。
STEP5:実際に小規模投資で学ぶ
最初はリスクの低い
- ワンルーム
- 中古区分
などで実務経験を積むのも一つの方法。

