賃貸需要のあるエリアを見極める方法|人口動向と賃料相場の正しい調べ方

賃貸需要のあるエリアを見極めるために、地図とデータグラフを確認している男性のイラスト。家賃相場や人口動向を調べる様子を表現したデザイン。
目次

賃貸需要を見誤らないために知っておきたい“エリアの数字”

不動産投資で最も重要な要素のひとつが、物件そのものの性能ではなく「どこにあるか」です。
利回りが高く見える物件でも、そもそも賃貸需要がなければ家賃が入ってこず、空室リスクだけを抱える結果になってしまいます。

そのため、初心者が最初に覚えるべきなのは「エリアの需要」を数字で読み取るスキルです。
特に人口の推移や賃料相場は、感覚ではなく誰でも調べられる“客観的な指標”として大きな武器になります。

本記事では、初心者でも今日から使える具体的なリサーチ手順を徹底解説します。


エリア選びで失敗しやすいポイントとは何か

多くの初心者が陥りやすい失敗には、次のようなものがあります。

● 表面利回りだけで判断してしまう

・賃料設定が相場より高い「見せかけ利回り」である場合が多い
・実際に入居者がつかずキャッシュフローがマイナスに陥ることもある

● 人口の増減を見ずに物件を選ぶ

・エリアの人口が減っていると需要も下がる
・新築物件が増えると競争が激化し、空室や家賃下落につながる

● 物件の周辺環境を深掘りしない

・駅からの距離だけで判断する
・近隣の大規模開発や大学移転などの「将来変化」を見ていない

こうした失敗は、簡単な調査だけでも回避できるものばかりです。
だからこそ、初心者でも“数字に基づいた判断”ができるようになることがとても重要です。


賃貸需要が高いエリアを見極めるための基本的な考え方

賃貸需要が安定しているエリアには、共通して見られる特徴があります。

● 人口が増えている(または横ばい)

人口が減っているエリアでは、長期的には賃貸需要も必ず縮小します。
少子高齢化が進む日本では“増えているエリアは相対的に強い”と言えます。

● 単身者・ファミリー層が適度にいる

・ワンルーム投資→単身者の割合
・ファミリータイプ→世帯数と子育て世帯の傾向
自分が所有する予定の物件タイプと、エリアの住民属性が一致していることが大切です。

● 賃料相場が適正で、下落トレンドにない

賃料が下がっているエリアは、入居者が減っている可能性があります。
相場より高い家賃設定をすると途端に入居が決まりにくくなるため、とても重要な指標です。

● インフラ・交通・生活利便性が高い

・主要駅へのアクセス
・買い物環境
・大型雇用施設(工場・大学・病院など)の有無
入居者が住み続けたいと思える環境が整っているか、長期的な需要に関わります。

これらはすべて、無料のデータやサイトで誰でも調べることができます。


人口データからエリアの“将来性”を読み解く方法

人口は最も強力なデータのひとつです。
理由は簡単で、「どれだけ魅力的な物件でも、住む人がいければ賃貸需要が消える」からです。

ここでは、初心者でも使いやすい調査手順を紹介します。


人口データを調べる際の主なポイント

✔ 過去10年の人口推移
✔ 年齢別の人口分布(単身者が多いか・ファミリーが多いか)
✔ 世帯数の増減
✔ 大規模開発など将来の人口変動要因の有無


人口推移を確認するためのおすすめサイト(無料)

以下のサイトを使えば、初心者でも簡単に人口動向を把握できます。

● 1. 自治体の公式統計(市区町村のHP)

・人口統計が「毎月」更新されていることが多い
・転入超過か転出超過か、最新のトレンドを掴みやすい

● 2. e-Stat(政府統計)

・国勢調査や住民基本台帳に基づく公式データ
・年齢別人口や世帯数なども細かく確認できる

● 3. RESAS(地域経済分析システム)

・人口の将来推計を見ることができる
・「今後10年で増えるのか減るのか」が視覚的に分かりやすい


人口データの見方のコツ

以下のどれかに当てはまっていると、賃貸需要が強い傾向があります。

● 人口が増えている or 横ばい

→ 急減しているエリアは要注意。

● 単身者が多い

→ ワンルーム投資に向く。

● 子育て世帯が多い

→ ファミリータイプの需要が強い可能性。

● 世帯数が増えている

→ 住み続ける人が増加していて、賃貸需要も安定しやすい。


賃料相場を調べることで入居率と収益性を予測する

人口だけでは十分ではありません。
同じ人口が増えているエリアでも、家賃水準は大きく異なるからです。

そのため、賃料相場を正しく把握し、
「このエリアで、想定家賃は妥当なのか?」
を判断することが不可欠です。


賃料相場を調べるための無料サイト

初心者でも使いやすいサイトを紹介します。

● 1. SUUMO(スーモ)賃貸

・間取りごとに平均賃料を確認可能
・実際の募集賃料に近い

● 2. HOME’S(ホームズ)

・交通アクセス・築年数・階数など条件でさらに絞れる

● 3. CHINTAI

・地図ベースでエリアの賃料相場が一目で分かる

● 4. 不動産情報サイトのAI家賃推計ツール

・物件住所を入力すると予測家賃を算出
・投資判断の目安にしやすい


賃料相場を見るときの注意点

同じエリアでも、以下の違いで賃料は大きく変わります。

・駅徒歩1分と15分
・築5年と築30年
・鉄筋コンクリートと木造
・ファミリーか単身者向けか
・1階か最上階か

物件タイプとエリアの相場が一致していないと、
表面利回りが高くても「家賃設定が非現実的」な物件に騙される危険があります。

人口・賃料相場データを組み合わせて“需要の強さ”を読み解く

人口データと賃料相場は、単体でも役立つ情報ですが、組み合わせることでエリアの“需要の強さ”がより明確になります
ここでは、初心者が実際の投資判断に使えるよう、どのようにデータを組み合わせて見るかを整理します。

<組み合わせると読み取れること>

指標の組み合わせ読み取れるポイント投資判断
人口増加 × 賃料横ばい〜上昇入居需要が強く競争力が高い非常にポジティブ
人口横ばい × 賃料横ばい安定需要、長期保有に向くポジティブ
人口減少 × 賃料横ばい相場価格が「張り合って維持されている」可能性物件タイプ次第
人口減少 × 賃料下落需要縮小のサイン原則避ける

数字を当てはめるだけでシンプルに判断できるため、初心者こそデータで「冷静な判断」を行うことが重要です。


実例:人口・賃料相場から実際の賃貸需要を分析する方法

ここでは架空の数値を使用し、初心者でもわかりやすい「分析の流れ」を紹介します。


【ケース1】地方都市A:人口減少だが賃料が安定している

✔ 過去10年で人口7%減
✔ 若年層は横ばい
✔ ワンルーム賃料相場はほぼ横ばい

解釈
・ファミリー層の転出により全体は減少
・大学や工場があるため単身需要は安定
・ワンルーム投資であれば成立する可能性あり

判断
→ ファミリー物件は避け、単身向けは候補に入る。


【ケース2】都市近郊B:人口増加・賃料上昇

✔ 過去5年で人口3%増
✔ 転入超過
✔ 賃料相場は上昇傾向

解釈
・交通アクセスが強化され需要が増加
・競争エリアだが需給のバランスが良い
・長期保有でも安定が期待できる

判断
→ ワンルーム・ファミリーともに投資優位性が高い。


【ケース3】地方C:人口減少・賃料も下落

✔ 過去10年で人口10%減
✔ 単身者・世帯数ともに減少
✔ 賃料も下落トレンド

解釈
・人口減少のスピードが早く、需給悪化の可能性大
・空室期間が長期化するリスクが非常に高い
・相続・節税目的以外では投資対象外

判断
→ 初心者は避けるべきエリア。


投資判断に使える“エリア別チェックリスト”

初心者はこのチェックリストを使うだけで、投資判断の精度が一気に上がります。


<人口関連のチェック項目>

  • 過去10年の人口推移が横ばい以上
  • 年齢別人口で単身またはファミリーの構成が物件タイプと合致
  • 世帯数が増えている
  • 転入・転出のバランスがプラス
  • 大学・工場・大型施設がある → 固定需要の存在

<賃料相場関連のチェック項目>

  • 家賃相場が下落していない
  • 直近1年の新築供給戸数が急増していない
    (供給過多は家賃下落につながる)
  • 競合物件と比較して、自分の物件の家賃設定が適正か
  • 管理会社の募集資料で家賃設定の根拠が示されているか

<周辺環境のチェック項目>

  • 駅徒歩距離が競合と比べて極端に不利でないか
  • コンビニ・スーパーが適度にあるか
  • 病院・学校・公園など生活利便性があるか
  • 近隣治安に問題なし(犯罪マップ参照)
  • 将来の再開発、インフラ整備予定があるか

初心者がやりがちな誤解と失敗を避けるポイント

データを調べる際に、初心者がよく勘違いするポイントをここで整理します。


● 誤解①:人口が増えていればOK?

→ 実は「世帯数」が重要。
人口が増えていても、1世帯あたりの人数が増加しているだけなら賃貸需要とは無関係。


● 誤解②:家賃相場が高い=需要がある?

→ 家賃が高くても“借りる人が減っている”ケースは多い。
重要なのは「入居期間が長く維持できるか」。


● 誤解③:駅近なら必ず埋まる?

→ 競合が多い駅近は供給過多で空室が増えることもある。
「駅近 × 賃料相場 × 住民属性」の3点セットでの判断が重要。


● 誤解④:新築が有利と思い込み

→ 家賃は高いが、数年後に築浅との競争になると値下げ圧力が強い。
需要のないエリアで新築に手を出すとリスクが急激に増える。


今日からできるカンタンな調査手順(実践ステップ)

初心者でもすぐ行動できるよう、調査手順をまとめました。


【STEP1】気になるエリアをリストアップする

・職場アクセスが良い場所
・大学・工場などの大規模雇用地
・通勤・通学路など“生活導線”がある街


【STEP2】人口・世帯数を確認する

・自治体HPの最新人口統計
・e-Statで年齢別人口を見る
・RESASで将来推計を確認

ポイント:
「人口横ばい以上」「世帯数増」なら需要が強い傾向。


【STEP3】賃料相場をチェックする

・SUUMO、HOME’S、CHINTAIで相場確認
・近隣の競合物件の家賃も確認する
・物件の広さ・築年数・駅距離が近いものと比較する


【STEP4】住民属性を把握する

・単身者が多いならワンルーム
・子育て世帯が多いならファミリー


【STEP5】空室リスクを推計し、投資判断を行う

・数値が不安ならそのエリアは避ける
・無理な家賃設定を避け、相場に合わせる

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